更年期?甲状腺機能低下症・亢進症?似ている症状の違いを比較

更年期?甲状腺機能低下症・亢進症?似ている症状の違いを比較
これまで2回にわたって、更年期と似やすい甲状腺の不調(低下症・亢進症)についてお伝えしてきました。今回は、3つを並べて比較しながら、症状だけで判断することの難しさを整理します。
「更年期だから、いろいろ不調が出るのは仕方ない」——そう感じている方は多いのではないでしょうか。
これまでお伝えしてきたように、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症は、どちらも更年期の症状と似ている部分があります。今回は3つを並べて比較しながら、なぜ見分けにくいのか、どこに注目すればよいのかを整理します。
なぜ見分けにくい?
40〜50代は、更年期に入る時期と、甲状腺疾患が見つかりやすい時期が重なることがあります。
疲労感、気分の変化、睡眠の問題、動悸など、更年期と甲状腺の不調には共通する症状が少なくありません。そのため、実際には甲状腺の働きが関係している不調であっても、「更年期だから」と思い込んでしまうことがあります。
前回、前々回とお伝えしてきた甲状腺機能低下症・亢進症は、どちらも更年期の症状と紛らわしいものでした。今回は3つを並べて整理することで、それぞれの特徴をつかみやすくなればと思います。
3つの症状を比較する
更年期、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症の主な症状を比較すると、次のようになります。
表からも分かるように、疲れやすさや月経の変化などは3つに共通して現れやすい症状です。一方で、体温の感じ方(寒がり/暑がり)や体重の変化(増える/減る)、便通の変化(便秘/排便回数の増加)などは、それぞれで異なる傾向があります。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、すべての方に当てはまるものではありません。症状だけでどれか一つに決めつけることは難しく、あくまで体の状態を振り返るための手がかりとして活用してください。
ポイントは「反対方向の症状」に注目すること
甲状腺機能低下症では代謝全体が低下するため、「寒い・便秘・体重が増える」という方向に症状が出やすくなります。反対に、甲状腺機能亢進症では甲状腺ホルモンの作用が過剰になるため、「暑い・汗が増える・脈が速い・体重が減る」という方向に症状が出やすくなります。
更年期は、女性ホルモンの変動により自律神経が不安定になりやすく、ほてり・発汗・動悸などが起こることがあります。そのため、特に甲状腺機能亢進症と症状が紛らわしくなりやすい点には注意が必要です。
「寒い方向」か「暑い方向」か、「体重が増える」か「減る」か——こうした対照的な症状の組み合わせに注目すると、自分の不調がどちらに近いかを考える手がかりになります。
症状だけでは判断できない
ここまでお伝えしてきた比較は、あくまで症状の傾向を整理したものであり、診断を行うものではありません。症状が似ていても、その背景にある原因はまったく異なります。「年齢的に更年期だから」と自己判断せず、気になる場合は一度確認しておくことが大切です。
甲状腺の状態は、血液検査(TSH、FT4などの数値)で確認できます。数値によっては、必要に応じてさらに詳しい検査が行われることもあります。婦人科や内科で相談できるので、選択肢の一つとして知っておくとよいでしょう。
こんなときは医療機関で確認を
すべての不調を「更年期だから」で片付けてしまうと、本来確認できるはずの甲状腺の状態に気づかないまま過ごしてしまうこともあります。次のような場合は、一度医療機関で確認することをおすすめします。
- 不調が長く続いている
- 急に体重が増減した
- 安静時にも動悸や頻脈がある
- 手の震えが続いている
- 首の前側が腫れている、違和感がある
- 更年期だと思っていた症状が、以前より強くなっている
ご相談いただきやすい方
- 更年期の不調と体の変化を整理したい方
- 生活習慣から巡りを整えていきたい方
- 症状の背景を知っておきたい方
医療機関への受診をおすすめする方
- 不調が長引く、急な体重増減がある方
- 安静時の動悸・頻脈、手の震えがある方
- 首の腫れや違和感がある方
よくある質問
更年期と甲状腺の不調はどう見分ければいいですか?
症状だけでの見分けは難しいです。 「寒い・便秘・体重増加」は低下症、「暑い・動悸・体重減少」は亢進症に出やすい傾向がありますが、あくまで手がかりの一つとして捉えてください。
血液検査では何が分かりますか?
TSHやFT4などの数値から、甲状腺の働きの状態が分かります。 数値によっては、さらに詳しい検査が行われることもあります。
低下症と亢進症、両方の可能性はありますか?
時期によって状態が変化することもあります。 気になる症状が続く場合は、自己判断せず一度確認しておくと安心です。
何科を受診すればいいですか?
婦人科または内科(甲状腺外来があればそちら)が相談先になります。 かかりつけ医がいる場合は、まずそちらに相談するのもよい方法です。
まとめ
- 更年期と甲状腺の不調(低下症・亢進症)は、症状が重なる部分が多くあります
- 低下症は「寒い・便秘・体重増加」、亢進症は「暑い・動悸・体重減少」という対照的な方向に出やすい傾向があります
- 症状だけで判断せず、気になる場合は血液検査という選択肢も知っておきましょう
40〜50代=すべて更年期ではありません。「年齢だから仕方ない」と我慢するのではなく、いつから、どんな症状が、どのように変化しているのかを確認することが大切です。首肩こりや疲労感についても、首や肩だけを見るのではなく、睡眠や月経、体重変化、暑さ・寒さ、動悸など、身体全体の変化を見ることが大切だと私は考えています。


