フレイルとロコモの違いとは?|さいたま市の鍼灸師が解説

フレイルとロコモの違いとは?|
さいたま市の鍼灸師が解説
「最近、歩くのが少し遅くなった気がする」
「ちょっとした段差で、つまずくことが増えた」
そんな変化を感じたとき、「まあ、歳だから仕方ないか」と思うことはありませんか。実はその小さな変化の中に、「フレイル」や「ロコモ」と呼ばれる状態のはじまりが隠れていることがあります。どちらも聞いたことはあっても、違いまではよく知らない、という方も多いのではないでしょうか。
ロコモは「歩く・立つといった、体を動かす機能の低下」を指す言葉、フレイルは「筋力だけでなく、栄養状態や気持ちの元気さまで含めた、心と体全体の弱り」を指す言葉です。どちらも、特別な対策より先に、食事・睡眠・歩くことといった基本の生活を見直すことが一番の近道です。「まだ自分には関係ない」と思っている今だからこそ、知っておく価値があります。
ロコモとは、どんな状態のこと?
ロコモとは「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」の略称で、骨・関節・筋肉・神経といった「運動器」の働きが低下し、歩いたり立ったりする移動機能が落ちてきた状態を指します。いわば、体を支える「土台」が少しずつぐらついてきているようなイメージです。
たとえば、こんな変化に心当たりはありませんか。
- 歩くスピードが遅くなった
- 階段がつらくなった
- 膝や腰が痛くて外出が減った
- つまずきやすくなった
- 立ち上がるときに何かにつかまりたくなる
一つひとつは小さな変化でも、積み重なると生活の範囲が少しずつ狭まっていくことがあります。
フレイルとは、ロコモと何が違うの?
フレイルとは、加齢とともに筋力や体力だけでなく、栄養状態・認知機能・気持ちの元気さ・人とのつながりまで含めて、心と体の「余力」が全体的に低下してきた状態を指す言葉です。ロコモが「体の動く機能」に焦点を当てているのに対して、フレイルはもっと広く、暮らし全体の元気さを指すイメージです。
たとえばこんな流れで、少しずつ生活全体が縮んでいくことがあります。
→ 筋肉が減る → さらに疲れやすくなる
という違いがあります。
余談ですが、「歳だから仕方ない」という考え方そのものが、実は行動を遠ざけてしまうことがあります。この思い込みについてはこちらの記事でも詳しくお話ししています。
サルコペニアも聞いたことがあるけど、同じもの?
サルコペニアとは、加齢に伴って筋肉量や筋力、身体機能が低下した状態を指す言葉です。「ロコモ」よりも対象が筋肉に絞られたイメージで、ロコモを引き起こす原因のひとつがサルコペニアと考えるとわかりやすいでしょう。
- サルコペニア → 筋肉に注目
- ロコモ → 筋肉・骨・関節など「動く機能」に注目
- フレイル → 体・栄養・認知・心・つながりまで「人全体」に注目
筋肉の衰えから、体はどう変化していくの?
体を動かすための栄養が不足すると筋肉が減り、動く量が減り、さらに食欲が落ちて栄養不足が進む……という悪循環が起こることがあります。これは「フレイルサイクル」と呼ばれています。
→ 食欲・食事量の低下 → さらに低栄養
ここで大切なのは、「筋肉が減ったなら筋トレをすればいい」だけで終わらせないことです。筋肉をつくるには材料となる栄養と、それを消化・吸収する働きの両方が必要になるからです。疲れやすさと栄養の関係については、貧血についてのページでも触れています。
→ エネルギーをつくる → 筋肉をつくる → 身体を動かす
この流れを丸ごと考えることが大切なんです。フレイルやロコモは、「高齢になってから考えるもの」ではありません。筋肉、骨、血管、ホルモン、糖代謝、そして胃腸の働き。身体を維持するさまざまな機能は、年齢とともに少しずつ変化していきます。だからこそ大切なのは、動けなくなってから対策することではなく、「自分の足で歩ける今から、身体を維持していくこと」です。
今日からできること
難しいことをたくさん取り入れる必要はありません。「食べる」「眠る」「歩く」という、基本の生活を見直すことがいちばんの近道です。
まずはこの4つを、無理のない範囲で意識してみてください。
具体的には、こんなことから始めてみるのがおすすめです。
- 一汁三菜を意識した和食(当サロンでは「美膳食」と呼んでいます)を心がける
- 具沢山のお味噌汁やキャベツなど、手軽に続けられるものを1日1回取り入れる
- お魚など動物性のたんぱく質を意識してとる
- 胃腸が弱っていると感じるときは、消化にやさしい粗食を意識する
- 無理のない範囲で、毎日少し歩く時間をつくる
食事の選び方については、控えたい食品3選や動脈硬化と食事の関係の記事もあわせてご覧いただくと、より具体的にイメージしていただけると思います。
よくある質問
まとめ
- ロコモは「動く機能」の低下、フレイルは「心と体全体」の弱りを指す言葉です
- 筋肉の衰えは、栄養不足や活動量の低下と悪循環(フレイルサイクル)を起こすことがあります
- 特別なことより、「食べる」「眠る」「歩く」という基本の生活を見直すことが、5年後・10年後の体につながります
フレイルもロコモも、「今の自分にはまだ関係ない」と思っているうちに、少しずつ始まっていることがあります。特別なことを始めるより先に、まずは毎日の食事・睡眠・歩くことという基本を見直してみること。それが、いちばん確実な一歩になります。


