性ホルモンの正体、実は”あの脂質”|さいたま市の鍼灸師が解説

女性ホルモンの正体、実は”あの脂質”|
さいたま市の鍼灸師が解説
「女性ホルモンを安定させるには、何を食べたらいいんだろう?」
そう考えたことがある方は、多いのではないでしょうか。大豆製品やサプリを思い浮かべる方が多いのですが、実はその前に知っておいてほしいことがあります。女性ホルモンには「材料」があるということです。
女性ホルモンの材料は、コレステロールです。「コレステロール=体に悪いもの」というイメージがあるかもしれませんが、実は女性ホルモンを作るために欠かせない存在です。ただし、材料があるだけでは十分に作られず、それを作る肝臓の元気さや、鉄・エネルギー・睡眠なども関わっています。年齢だけでなく、こうした体の土台を整えることが大切です。
女性ホルモンは何からできている?
女性ホルモンとは、卵巣などで作られ、月経周期や体温調整、肌や骨の状態など、体のさまざまな働きに関わるホルモンのことです。エストロゲンやプロゲステロンといった種類があります。
このホルモンの出発点になっているのが、コレステロールです。体の中では、
というように、いくつかの段階を経て作られていきます。(黄体ホルモンのプロゲステロンは、途中のプレグネノロンから枝分かれした、別ルートで作られます。)いわば、コレステロールは女性ホルモンという「製品」を作るための、最初の原材料のようなものです。
コレステロールは本当に悪者?
コレステロールとは、体の細胞膜やホルモンなどを作るために使われる、脂質の一種です。体の中にあるコレステロールの7〜8割は肝臓で作られ、残りの2〜3割が食事から補われています。食べた量が多ければ肝臓での合成が減り、少なければ増えるという調整も働いているため、食事の量がそのまま血液中の数値に直結するとは限らず、影響の受けやすさには個人差があります。
脂質全体の話は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
→ 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いは?肌への影響も解説
材料があれば女性ホルモンはきちんと作れる?
材料が体の中にあることと、実際にホルモンとして作られることは、必ずしもイコールではありません。合成の過程では、酵素やエネルギー、酸素なども必要になるためです。
具体的には、
- 鉄(合成を助ける働きに関わる)
- エネルギー
- 肝臓の元気さ
- ミトコンドリアの状態(体の中でエネルギーを作る場所)
などが関わっています。鉄が不足していると合成がうまく進みにくくなりますし、エネルギーが不足していると「材料はあるのに工場が動いていない」状態になりやすくなります。
なかでも肝臓は、コレステロールの多くを作り出している場所であり、体の中の脂質やホルモンのバランスを整えるコントロールセンターのような役割も担っています。材料があっても、それを作る肝臓が元気でないと、合成や調整がスムーズにいきにくくなります。
肝臓に負担がかかりやすい生活習慣
- 糖質・甘いものの摂りすぎ(余った糖が脂肪に変わり、肝臓にたまりやすくなります)
- 脂っこい食事・食べ過ぎ
- お酒の飲みすぎ
- 運動不足
- 極端な食事制限・急なダイエット
- 寝不足・不規則な生活
- 市販薬・サプリメントの多用(肝臓は薬や成分を分解する役割も担っています)
「体重が軽いから」「お酒を飲まないから」と思っていても、糖質の摂りすぎや運動不足で肝臓に負担がかかっていることもあります。
このあたりは、こちらの記事でも詳しく触れています。
→ 疲れが取れないのはタンパク質不足のサイン?
→ 疲れが取れないのはミトコンドリア不足のサイン?
女性ホルモンが減るのは年齢のせいだけ?
年齢とともに女性ホルモンが変化していくのは、自然な体の変化のひとつです。ただし、それだけがすべての要因とは限りません。
睡眠不足や慢性的なストレス、血糖値の乱れなども、ホルモンバランスに影響を与える可能性があるといわれています。ストレスが続くと、脳から卵巣への「作って」という指令が弱まりやすくなることが分かっています。
また、閉経が近づきエストロゲンが減ると、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が上がりやすくなることも知られています。エストロゲンには、これを片づける働きがあるためです。
興味深いのは、閉経後もエストロゲンの産生が完全に止まるわけではないという点です。卵巣からの分泌が少なくなる一方で、副腎という別の場所からもホルモンのもとが分泌され、脂肪の中で少量のエストロゲンに変換され続けます。つまり更年期以降は、卵巣に代わって副腎がホルモン産生の一部を引き継いでいるとも言えます。
体は、閉経したからといってホルモンをすべてゼロにしてしまうわけではなく、形を変えながら作り続けようとしている——そう考えると、「年齢のせいで終わり」ではなく「体は今も働き続けている」という見方ができるかもしれません。
だからこそ、コレステロールという材料だけでなく、それを支える肝臓や副腎の状態、栄養状態を整えることが、更年期以降の体を支える土台になります。
ストレスとホルモンの関係については、こちらもどうぞ。
→ ストレス太りは本当にある?お腹だけ太る原因
今日からできること
こんな方は、一度食事や生活を見直してみる価値があります。
- コレステロールを「悪者」として避けすぎている
- 魚や豆類などのタンパク源が不足しがち
- 睡眠時間が短い、または眠りが浅い
- 常に忙しくて、ゆっくり休めていない
- お酒の量が多い、または食べ過ぎが続いている
いきなり全部を変える必要はありません。材料であるコレステロールを整えるだけでなく、それを作る肝臓を労わることも意識してみてください。暴飲暴食を控える、お酒はほどほどにする、しっかり眠る。当たり前に思える習慣が、実は肝臓にとっての一番のケアになります。
よくある質問
まとめ
- 女性ホルモンの材料はコレステロールで、悪者ではありません
- コレステロールの多くは肝臓で作られており、肝臓を労わることも大切な視点です
- ホルモンの減少は年齢だけでなく、睡眠・ストレス・血糖なども関係している可能性があります
- 閉経後も、副腎が形を変えながらホルモンを作り続けています
「ホルモンを安定させる」を目指すよりも先に、「ホルモンを作れる体を育てる」という視点を、ぜひ持ち帰ってみてください。


